クリニック災害対策マニュアルの作り方と見直し方
この記事の要点
- 人の安全・情報発信・診療継続の三つに分けて手順を整理する
- 電話不通を前提にホームページとGoogleの更新手順を事前に決める
- 非常勤職員や代理判断者の抜け漏れが起きやすいので定期点検する
クリニックの災害対策マニュアルは、発生直後と復旧後の二段階で考える
クリニックの災害対策マニュアルで最初に決めるべきは、発災直後の安全確保の手順と、診療再開までの連絡・運営の手順を分けて整理することです。どちらか一方だけをまとめても、停電や通信障害が起きたときに職員が動けなくなります。この記事では、院内の体制づくりから患者さんへの発信方法まで、クリニックの規模にかかわらず確認しておきたい項目を手順で紹介します。
災害対策マニュアルに最低限入れておきたい項目
マニュアルの中身は、大きく分けて「人の安全」「情報の発信」「診療の継続・再開」の三つで構成します。
- 職員と患者さんの避難誘導、安否確認の手順
- 電気・水道・通信が止まったときの院内対応(医療機器の扱いは設備業者や保守契約先の案内に従う)
- 休診・再開の判断基準と、誰が最終判断をするか
- 休診情報をどこで、どう発信するか(ホームページ・Googleビジネスプロフィールなど)
- カルテやマイナ保険証または資格確認書の確認ができない場合の受付対応
- 近隣の医療機関や地域の医師会との連絡体制
これらは医療の内容そのものではなく、組織としての危機管理の仕組みです。マニュアル作成にあたっては、厚生労働省や自治体が公表している業務継続計画の考え方を確認しながら、自院の建物の構造や立地、職員数に合わせて落とし込むことが欠かせません。
受付・電話・ホームページ、発災直後に動かす順番を決めておく
災害が起きた直後、患者さんからの問い合わせが集中しやすいのは電話とホームページです。この二つの情報が食い違うと、来院した患者さんが無駄足になったり、職員が同じ説明を繰り返す負担を抱えたりします。
電話がつながらないことを前提にした対応を決める
地震や台風の直後は、固定電話も携帯電話も回線が混雑し、つながりにくくなることがあります。電話だけに頼った案内では、休診の連絡が患者さんに届かないまま来院につながってしまうケースがあります。
- 休診・時間変更の第一報は誰が、どの手段で出すかを決めておく
- ホームページのトップに表示する一文のひな形を事前に用意しておく
- Googleビジネスプロフィールの営業状況も合わせて更新する手順を決めておく
電話が通じない間の代替手段をどう組み合わせるかは、建物の立地や契約している通信環境によって事情が異なります。マニュアルには「誰が」「どの順番で」更新するかまでを書いておくと、担当者が不在でも動けます。
ホームページの更新手順を事前に確定しておく
ホームページの更新権限が特定の職員や外部の制作会社に限られている場合、発災直後にその人と連絡が取れないと更新が止まってしまいます。これは実際の運用でよく起きる失敗のひとつです。
- 更新できる人を複数名に分けておく
- 更新用のログイン情報を、院内の決まった場所に控えておく
- 外部に制作を依頼している場合は、緊急時の連絡方法を契約時に確認しておく
ホームページの文面は、診療再開のめどが立たない段階では「状況を確認中です」という一文だけでも掲載しておくと、患者さんの不安を和らげる効果が期待できます。ただし、掲載する文言が医療広告の案内に触れる内容にならないか、厚生労働省の案内と都道府県・保健所の窓口で確かめることが大切です。

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無料で記事を作る →マニュアル作成で見落としやすい点と、定着させるための工夫
災害対策マニュアルを作る過程では、いくつかの項目が抜け落ちやすいことが分かっています。
見落としやすい項目の例
- 非常勤職員やパート職員への連絡方法が決まっていない
- 院長が不在のときの代理判断者が決まっていない
- 紙のカルテと電子カルテが混在している場合のデータ確認手順が曖昧
- 近隣のクリニックや地域医師会との連絡網が更新されていない
こうした項目は、マニュアルを一度作っただけでは気づきにくく、実際に訓練や見直しをしてはじめて不備が見えてくることがあります。
マニュアルを形だけで終わらせないための工夫
マニュアルを作っても、院内に周知されていなければ発災時に機能しません。職員が交代したタイミングや、建物の設備が変わったタイミングで内容を見直し、無理のない範囲で院内研修や簡単な訓練を取り入れておくと、実際の場面で手順を思い出しやすくなります。マニュアルの保管場所も、院内の紙とデータの両方に分けておくと、どちらかが使えない状況でも確認できます。
集客の面から見ると、災害時にホームページやGoogleビジネスプロフィールを適切に更新できるクリニックは、患者さんからの信頼を保ちやすくなります。一方で、更新の遅れや情報の食い違いは、平時に積み上げてきた評判に影響することもあります。集客の結果は地域や診療科、日頃の取り組み方によって変わり、成果を約束するものではありませんが、発災時の情報発信の備えは平時のうちに整えておく価値があります。
作成後の確認先
マニュアルの内容が医療機関としての業務継続計画として十分かどうかは、自院だけで判断せず、都道府県や地域の医師会が示す手引きも参考にしながら整えることをおすすめします。厚生労働省では医療機関の業務継続に関する案内が公開されているため、自院の状況に合わせて確認してみてください。
災害対策マニュアルは、一度形にしたら終わりではなく、建物や人員の変化に合わせて内容を見直し続けるものです。院内の状況に合わせて、無理のない頻度で点検する機会を設けておくことが、いざというときの対応力につながります。
よくある質問
- Q. 災害対策マニュアルは何から作り始めればよいですか
- A. まず発災直後の安全確保の手順と、診療再開までの連絡・運営の手順を分けて整理することから始めます。その上で電話やホームページなど情報発信の手順を決めると進めやすくなります。
- Q. ホームページの更新担当者が被災して連絡が取れない場合はどうすればよいですか
- A. 更新できる職員を複数名に分けておき、ログイン情報を院内の決まった場所に控えておくと、担当者が不在でも更新できる体制を作れます。外部に制作を依頼している場合は契約時に緊急時の連絡方法を確認しておくとよいでしょう。
- Q. マニュアルに載せる休診情報の文言に決まりはありますか
- A. 表示できる内容には決まりがあるため、厚生労働省の案内と都道府県・保健所の窓口で確かめることをおすすめします。



